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関西シクロクロスで年齢別マスターズを実施しない理由について

2022-2023シーズンより、主に関東方面のAJOCC公認レースで、マスターズカテゴリーに対して、M2とM3を統合し、年齢別に再編するという組み分けが導入されています。

一方関西シクロクロスでは、これまで通り実力別マスターズ(M1, M2, M3)の組み分けを運用しており、また来シーズン以降もそれを堅持する方針です。

なぜ関西シクロクロスへ年齢別マスターズを導入しないかについて、これまでの説明だけではよく理解されていない部分があるように思われますので、この記事で詳しく解説いたします。

そもそも年齢別にする理由って?

年齢別に移行した方が良いという意見の根拠として、「選手は年を取るにつれて走力が落ち、やがてレースについていけなくなって競技を離れる」という仮説があります。そこで、そもそもの年齢と走力の相関について検証してみます。

様々な指標が思い浮かびますが、まずはラップタイムを見てみます。2023.1.8(日) 関西シクロクロス 第8戦 希望が丘のM2以下の、全4周回のうちの3周目のラップタイムを抜き出して比較してみます。なお、同一選手で他の周回と2分以上差のあった数字は異常値として排除しています。

  • M2A平均(65名):8'52"
  • M2B平均(44名):8'44"
  • M3平均(93名):9'45"

M2とM3には歴然と差が存在することがわかります。それでは、これをそのまま年齢別に再編したものを想定してみます。M35は出走2名、M70は出走1名でしたので省いています。

  • M40平均(61名):9'02"
  • M50平均(111名):9'17"
  • M60平均(27名):9'16"

この数字は、ほとんどの方にとって意外なものだと思います。今シーズン初頭に標準時間割の記事で「年齢と順位の相関関係はほとんどみられません」とお知らせした通りとなっています。上位下位の個別のタイムや、M1を分析した場合も同様の結果となります。M1の表彰台に、M50相当の選手が何度も上がっているのは皆さんもよくご存じでしょう。

つまりここからわかることは、マスターズを年齢別に再編したとしても集団としての上位下位の強度分布は変わらず、「レースについていけなくなって競技を離れる」の部分はおそらく変わらないだろうということです。M40の選手がめでたくM50に行っても、M50の選手がめでたくM60に行っても、残念ながら成績が向上することはないのです。

一番の理由:レースの安全性確保

関西シクロクロスの特徴は、極めて参加者数が多いことにあります。また、その中でもマスターズに参加する選手の数の多さは際立っています。

第8戦 希望が丘の場合、総エントリー数は879名、うち357名はマスターズ、M2以下は253名でした。ここで、各カテゴリーごとの年齢別のエントリー人数を見てみます。

第8戦 希望が丘のマスターズ
M40 M50 M60 合計
M1 44名(42%) 52名(50%) 8名(8%) 104名
M2 38名(28%) 83名(61%) 16名(12%) 137名
M3 39名(34%) 55名(47%) 18名(16%) 116名
他M3にM35=3名(3%)、M70=1名(1%)

人数の面からも、年齢と順位の相関関係が弱いことがわかります。年齢別への再編の焦点となるM2とM3の比較では、むしろM2の方がM50の割合が高くなっています。

そして、この章のタイトルでもある「レースの安全性」の観点については、関西シクロクロスでは、より走力の均衡したレースこそが安全だと考えています。M1への昇格を目指して数年以上シクロクロスに参加している選手と、40代50代になって初めて自転車レースに参加しようと考えた選手が、同じレースを走り、追い抜きが多く発生するのは危険だと思われます。

でもやっぱり60代はつらいよ

関西シクロクロスにエントリーした選手の年齢分布は、日本の人口ピラミッドとおおむね一致します。しかし、M60以上の年齢になると急激に乖離し、参加者数が急減します。「生涯スポーツ」の観点からは、M40とM50に分けるのではなく、M60以上の参加者の動向をさらに詳しく分析する必要があると考えています。M60、M65、M70といったカテゴリーは、新設する価値があると思われます。

その2:誰だって勝ちたい

よく言われるように「安全第一」ではありますが、シクロクロスに参加するにあたっては面白さもその次に重要です。M2以下を年齢別に再編した場合、M3からの昇格という機会は完全に失われます。AJOCCの本来の実力別カテゴリーシステムでは、上位選手を強制的に昇格させることで、残った選手に平等にチャンスが訪れます。

シーズンが進むにつれて、スタート前にM3の1列目に並ぶ選手も変わっていく。そして号砲が鳴ったあとは「次こそは俺の番だ」と頑張って走る。そんな選手を目の前にして、来年からもうM3からの昇格はありませんよ、M2の選手と一緒に走ってくださいね、ちなみにどの年齢でも実は速さは同じですよ、とはとてもじゃないですが言えません。

それでも年齢別にしたらどうなるの?

ここまでM2以下の年齢別への再編に利点が少ないことを、過去のリザルトデータ等を元に解説してきましたが、それに加えて今シーズン新しく導入された年齢別カテゴリーの手法には、いくつか不審な点が存在します。これもまたよく理解されていない方が多いように思われますので、詳しく解説いたします。

年齢別から昇格したくない人

現行のAJOCC運営規則では、M2以下をまとめた年齢別カテゴリーからM1への昇格は任意ということになっています。しかし任意ということは、いつまでも昇格しない選択肢もあるということです。あるとき1人の選手が昇格を辞退し、その次の回に優勝した選手が俺も俺もと昇格を辞退し続けるようになれば、もはやM1とM2以下というカテゴリー分けすら崩壊しかねません。

殊に関西シクロクロスでは、M1とM2の実力差が大きいことや、M1の時間割の都合もあって、M1昇格の辞退というのは充分に想定される事態です。「優勝したい」というモチベーションと「昇格したい」というモチベーションは全く別のものであるということに気づく必要があります。なお、M1の時間割については後できちんと話します。

年齢別ランキングは正しいのか

現行のAJOCCデータベースでは、「M1を含めた年齢別カテゴリー」と「M1を除いた年齢別カテゴリー」が同一の名称のもと、ポイントが合算されてランキングが作られています。しかしこの「年齢別カテゴリー」の開催形態は、以下のようにAJOCC加盟主催者によって非常にまちまちであり、ランキングが走力を反映したものになっていません。

  1. マスターズは年齢別だけ実施され、M1の選手は年齢別に出走する
  2. M1と年齢別は別に実施され、M1の選手は年齢別に出走できない
  3. M1と年齢別は別に実施されるが、M1の選手は年齢別を選択することができる

この3種類が渾然一体となったままシーズンが経過していった場合、年齢別カテゴリーのランキングの中に、まばらにM1の選手が入り込むことになります。そして、1の形態でレースを実施しようとした際、選手の並び順に困ることになります。

しかし本来は1の形態こそが、全日本マスターズやマスターズ世界選手権に近いはずです。「一貫したカテゴライズ」となるはずが、複雑な独自のシステムに翻弄されては、本末転倒です。

M1の選手も年齢別に出られるの?

そもそも上記3種類のうち、3の形態は現行のAJOCC運営規則にすら規定されていないものです。M1の選手が、M1が別実施されているレースで年齢別に出走し、優勝してしまっては、昇格が任意だ辞退だというお話ですらなくなってしまいます。これではマスターズカテゴリーの中で、M1が一体どのように位置づけられているのか、参加者にとっても理解が難しいものになるでしょう。

現行の時間割の成り立ち

最後に、関西シクロクロスでの時間割の考え方について少しだけ解説します。時間割というのは、レース主催者のノウハウの塊のようなもので、主催者の意向が色濃く反映されます。

関西シクロクロスの時間割は、毎シーズン少しずつ変更を加えているものの、ここ最近は8つのレースで成り立っていることに変わりはありません。キッズクラスが2つ、初級クラス(30分)が3つ、中級クラス(40分)が2つ、上級クラス(60分)が1つです。これに朝の会場準備、朝と昼の試走、夕方の会場撤収を加えると、開門から日没まで物理的に利用可能な時間をフルに使っている状態となります。

もしここにさらに1つレースを増やそうとすると、試走時間の短縮、キッズレースの統合、中級クラスの統合などの方法が考えられますが、レースの安全面から許容できず、また平たく言ってもサービスの低下であり、実現可能性は極めて低いものです。

M1なぜ朝イチなんですか!!

そんな関西シクロクロスの時間割の中で、M1を第1レースとしているのには根拠があります。

M1の選手はどの方も何度もシクロクロスに出走されている方であり、レース受付や招集の手順に慣れてらっしゃいます。レーススタート10分前の招集開始時間になってゼッケン貰っていない!! とバタバタと受付に駆け込んでくる方はまずおられません。そして、このスムーズな受付と招集の流れは、第2レース以降に出走される初参加の方や慣れてらっしゃらない方にとってのお手本となります。

また、レース自体も1カテゴリーの単独発走であり、実力が拮抗していることから周回遅れの発生も少なく、リザルトの作成もスムーズに進みます。レース運営をお手伝いいただいている審判の方は、皆ボランティアであり、決して本業ではありません。その審判の方にも、毎戦レースの流れを思い出していただきつつ、正確なリザルト作成へのプレッシャーをかけることなくレースを進めることができます。

さらに、M1はコースをフルに使い、レース時間も40分あります。シクロクロスのコースは、どうしても毎回安全性と面白さを天秤にかける必要があります。そんな中で、キーポイントとなりそうなセクションが、実際のレースではどんな様子になるのか、余裕を持って審判長やオーガナイザーがチェックすることができます。

以上のことから、朝一番のレースにM1を置いています。そんなもん運営の都合であって選手には何も関係ない!! という意見もあることかと重々承知しておりますが、どうかご理解いただきますようお願い申し上げます。

関西シクロクロスの結論

以上のことから、関西シクロクロスでは今後もマスターズの実力別3段階を継続します。この記事で、関西シクロクロスの運営方針をご理解いただける方が一人でも多くなることを願っています。

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